『あつまさ先生の道しるべvol.12』~アプローチ・スタートカリキュラムについて~

前回記事では、小学校に入学したばかりの児童が学校に適応できない「小1プロブレム」の原因と対策についてお伝えしました。

『あつまさ先生の道しるべ vol.11』~”小1プロブレム”の原因・対策について~
夏休みも終わり、いよいよ来年の小学校入学について考える時期に入ってきました。ままっち!スタッフTammyの息子も来年小学1年生。心配事はつきません。ところで、皆さんは「小1プロブレム」という言葉を知っていますか?近年問題視されている、この「小1プロブレム」について、あつまさ先生に原因や学校現場で行われている対策、今から家庭でできる対策などを紹介してもらいます。

今回は、その「小1プロブレム」解消のために、小学校と幼稚園・保育園等が連携して取り組んでいる【アプローチカリキュラム】【スタートカリキュラム】とはどんな内容なのかをあつまさ先生に詳しく解説してもらいます。


 

あつまさ先生
あつまさ先生

幼児の発達や学びの連続性を保障するためには、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続を図ることが重要です。そのためには、幼児期と児童期の教育双方が接続を意識する期間として、接続期を設けることが必要です。接続期は、幼児期の教育から小学校教育への準備や慣れるための期間ではなく、子どもの発達や学びの連続性を踏まえて捉えなければなりません。接続期とは、就学前の「アプローチ期(5歳児後期)」と、就学後の「スタート期(入学期/入門期)」を合わせた期間のことです。そして、アプローチ期における教育課程のことを「アプローチカリキュラム」、スタート期における教育課程のことを「スタートカリキュラム」と呼びます。

 

アプローチカリキュラムとは

アプローチ期に身に付けさせたい力や育てたい力を具体的に明らかにし、一人一人がその力の育つ方向に向かっているかを確かめ、保育実践や小学校教育との接続に役立てる教育課程(カリキュラム)のことです。

アプローチカリキュラムで大切にしていることは?

①学びを楽しむ力と学びに向かう力を育む

接続期は、「学びの芽生え」から「自覚的な学び」につながる大切な時期。子どもが思いっきり遊び込める環境の中でも、様々なことに興味・関心をもったり、新しい発見をして楽しんだりする中で、知ること・わかることが楽しいと思える機会づくりが大切です。
また、最後まで諦めずに挑戦したり、友だちと仲良く協同して活動したり、人の話が終わるまで集中して聞いたりする力は、「学びに向かう力」と呼ばれています。これらは、小学校で他者と一緒に学ぶためには必要な力であり、遊びや生活を通して育むことが求められています。

②協同的な遊び・体験を充実する

協同的な遊び・体験を充実させることで、クラスの一員としての自分を意識して責任感が育まれたり、一つの目標に向かって友だちと協力し合うことで達成感を味わったりするなど、小学校入学後の集団生活における学習の土台づくりにつながります。

③自信と期待をもたせる

接続期においては、これまで経験してきたことを発揮して認められ、自信や自己肯定感をもつことができる機会や場が必要となります。また、自分がこれまでに経験してきたことに自信をもつことで、小学校生活への楽しみ・期待をもつことにつながります。

(参考例)アプローチカリキュラム期間の月ごとのねらい<函館市内のK幼稚園作成>

 

 

スタートカリキュラムとは

小学校に入学した子どもが、幼稚園・保育所・認定こども園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、新しい学校生活を創り出していくための教育課程(カリキュラム)のことです。

スタートカリキュラムで大切にしていることは?

①幼稚園・保育所での経験を活かす

小学校入学当初においては、子どもがこれまで経験してきた遊びや生活環境を参考にし、取り入れることで、子どもの戸惑いの解消やこれまで身につけた力の発揮につながります。

②合科的・関連的な指導を進める

就学前の子どもはこれまでに、生活や遊びを通して、さまざまなことを学んできています。体験を通じた学びが中心である生活科では、就学前に体験してきた内容を活かしつつ、生活科を入口として各教科学習につなげていくことが大切です。

 

③ 授業時数や内容を工夫する

合科的・関連的な指導を進めるにあたっては、授業の単位時間を15分モジュールで区切ったり、場合によっては伸ばしたりしながら柔軟な時間割を進めることが効果的。例えば、生活科の「春をみつけよう」の課外授業において、45分で内容を詰めて進めるよりは、60分に伸ばして時間にゆとりがある中で、国語や算数などの教科学習とつなげながら進めていくなど。また、小学校入学により子どもが感じる戸惑いをやわらげるためにも、例えば1時間目は学校生活を楽しめる授業にするなどの、子どもが学校・教科学習になじめるような授業内容の工夫も効果的です。

 

(参考例)スタートカリキュラムの実践事例集 <山口県教育庁義務教育課作成>

 

 

「小1プロブレム」解消のために、教育現場ではこのようなカリキュラムを実践して、日々努力されているのですね。
家庭でも出来る対策(前回記事参照)を今から少しずつ意識していけたらいいですね♪

 

次回は、先日開催した【ままっち!ママ座談会】でトークし合った「幼稚園選びのポイント」について、園長先生のご経験があるあつまさ先生と深掘りしていきたいと思います!お楽しみに(^^)/

次回公開は10月下旬を予定しています!