ひっぽのひげ文庫 vol.46「もったいないばあさんの おばあちゃん」

函館市神山にある【えほんカフェひっぽ】。店主の中川裕司さん(通称 ひげさん)がおすすめの絵本を紹介してくれます。子どもだけでなく、大人にも響く絵本の数々をお楽しみください。
『ひげのつぶやき』では、父であり、教員経験のあるひげさんが見つめる子育てや日常のアレコレを綴ってくれます。これが心に沁みるんです~。どうぞご覧ください。

読者の皆様こんにちは。ひっぽのひげです。
2月3日の立春から、雪がどっさり降ったり雨模様で一気に溶けたり、天気と気温の乱高下に身体がついていきませんが、いかがお過ごしでしょうか。

天気のようなどうしようもないことに一喜一憂してストレスを貯めないように心がけていますが、仙人でもあるまいしなかなかうまくいきません。悟りの境地には至らず、空に向かってぼやく日々です。

「もったいないばあさんの おばあちゃん」
作:真珠まりこ
出版:2024年 定価:本体1,500円+税
講談社

「もったいないばあさん」の最新作、シリーズ16冊目です。
もう最初の絵本から20年になるのですから驚きです。ばあさんもずいぶん歳をとったかというと、そんなことない「ばあさん」です。

もったいないばあさんのおばあちゃんのお話です。
米作りの農家をやっていたおばあちゃんの口癖は「ありがたや ありがたや」
おひさまにも、突然の雨にも、稲の開花時の風にも、村の仲間たちにも「ありがたや ありがたや」です。
自然とともに仲間たちと生きる昔ながらの日本の原風景が描かれているような気がします。
コンバインで一気に稲刈りをして、もみだけにして同時に乾燥なんてことはなかったのですよ。

ホッコリと心暖まる絵本です。

「もったいない」と思う背景には、食べ物や自然、全ての物事への感謝の気持ちがあるからこそ。日本人の心にある素敵な想いですよね。
原画は、イネの一本一本、おたまじゃくし、カエル、トンボ、雨のしずく、米粒、お茶碗のご飯などなど、和紙を染めて切って貼って大変な時間と手間をかけて作られたそうです。そこにも注目しながら読んでみたいですね♪

 

 

中学、高校では、制服と指定のダサいジャージが定番です。(市函や中部は私服ですが制服もあるのでしょうか)
私服は許されません。なぜなんでしょうね。制服を着たい子は制服、私服がいい子は私服で何の不都合もないはずです。みんな同じだと「平等」との思い込みでしょうね。 

一方で「子どもの多様性を尊重して・・・」などとよく言われるようになったのはいいのですが、厚い「規則」の範囲内の多様性でしかなく、そこからはみ出す不登校のような多様性は認められず社会問題となります。不登校の子に「平等に」学びを保障する公的機関はありません。冷たく「自己責任」と言われるのが実情です。この先、トットちゃんのような子は育たないでしょうね。

世の中も同様で、「働きたいから長時間労働はいとわない」というのはダメで平等に運転時間を管理しましょうとなり、トラック運転手不足です。無理やり働かされるのはもちろんダメですが、トラック大好きで運転席に炊飯器を持ち込んでる知り合いの運転手もいます。運転時間の制約は彼にとっては平等ではないのです。

それぞれの思いや願いを平等に守っていける、そんな当たり前の大人でいたいものです。

 


もう2月後半、この間節分バレンタインを終えたのに、もうひな祭りの準備です。
この調子で気づいたらGW。本当に1年はあっという間ですね。

さて、今回の「つぶやき」について。
本当の平等ってなんだろうと考えさせられました。
私が引っかかることが多いのが男女平等。あらがえない性別上の違いがあるのに、平等を意識しすぎて本末転倒なことってありますよね。誰のための平等なんだろうと首をかしげたくなります。
(ちなみに男女平等についてはvol.3でも触れていますのでよろしければご覧ください)

平等に縛られて、逆に誰かの不平等を生み出す
平等という大枠を決め、型にはめるのではなく、ひげさんの言う通り「それぞれの思いや願いを平等に守る」ことができたら最高ですね。
天秤にかける物事を間違えないよう、一人一人の意見をまずは聞いてみることが大切だなと思いました。
誰かの物差しだけでは本当の平等は成立しませんね。

ままっち!編集部 Tammy

えほんカフェひっぽ
住所 
函館市神山3丁目64-2
TEL 
0138-87-2691
営業時間 
11:00~18:00
定休日 毎週火、水曜日
HP http://hakodate-ehoncafe-hippo.com/