ひっぽのひげ文庫 リターン vol.3 おこだでませんように

あの、【ひっぽのひげ文庫】がままっち!に帰ってきました♪♪
函館市神山のえほんカフェひっぽ 店主の中川裕司さん(通称 ひげさん)がオススメの絵本を紹介してくれます。今回はどんな絵本と出逢えるのでしょうか📚さらに、ひげさんが綴るエッセイ【ひげのつぶやき】もスタート!ご自身も父であり、教員経験もあるひげさんが見つめる子育てのアレコレ。どうぞご覧ください♪

作:くすのき しげのり
絵:石
井 聖岳
小学館
本体価格:1,650円(税込)

ひげさん
ひげさん

ままっち!さん、こんにちは。

こんにちは!ひげさん、7月のオススメ絵本はなんでしょうか?

ひげさん
ひげさん

7月といえば、七夕ですね。
函館特有の七夕祭り「♫たけに短冊、七夕祭り・・・」、今年も中止になり残念です。子どもたちが歌ってお菓子をもらい歩くことは出来なくても、願いや夢を込めて短冊を書き笹に飾ることは、大切な日本の文化として継承していかなくてはならないと思います。
今年もひっぽ店内に笹をおき、大人のお客様にも短冊を書いてもらいました。「何年ぶりかなぁ」と言いながら皆さん書いてくださいました。短冊は8日の朝、送り火にしました。

みんなの願いが叶いますように★

ひげさん
ひげさん

さて、「おこだでませんように」の「ぼく」は、怒られてばっかりの一年生です。妹を泣かしたとおかあちゃんに怒られ、意地悪言う友だちにパンチして泣かしたと先生に怒られ、「おこられてばっかりや」と落ち込むんですよ。

兄弟げんか、宿題を後回しなど、我が家もこの絵本と同じような日常です。おかあちゃんが怒ってばかりなのも同じです。

ひげさん
ひげさん

「ええこやねえ」と褒めて欲しいけど、言うこともやることも裏目になってしまうのです。負のスパイラルですね。そんな中で迎えた七夕の授業で「ぼく」が書いたのが「おこだでませんように」

『おこだでませんように』って『おこられませんように』ということですよね。ここを読んでハッとしました。表面的には「ぼく」が原因でトラブルになっているけれど、「ぼく」の行動の裏にはこんな事情や気持ちがあったのか…と。私は、子どもたちの話を聞く前に、頭ごなしに叱ってしまってることがいっぱいあると思います。

ひげさん
ひげさん

僕も思わず、教師としての親としての自分の対応はどうだったかな、あの子への声かけはどうだったかな、と思い返してしまいました。心温まりつつチクンとする、そんな絵本です。ぜひお子さんと一緒に手にして下さい。

子どもにも子どもの事情があって、私たち大人が思うよりも深く色々なことを考えているのでしょうね。怒る前に、叱る前に、子どもの行動の裏に隠された『気持ち』をしっかり考えてあげたい、と思いました。

 

 

今月のテーマ「男子と女子は平等ですか?」
男女混合名簿

1970年代に、社会的な男女平等を求めてウーマンリブの流れがあり、差別からの女性解放の先駆的な役割を果たしました。なりふり構わない女性の出現に、圧倒されたものです。それでも、その流れは現在の「機会均等法」につながり、女性の地位や役割の改善に寄与したと言えます。しかし今日でも役職や給与などが男性と同じにはなってないようにも思えます。
学校現場では、ここ20年くらいの間に、男女別の出席簿を男女混合名簿に変更したところも多く、一般的になっています。そんなことで、差別意識はなくならないと思いますし、前回の「つぶやき」で[みんな平等、さん付けに]という安易な平等意識と重なります。どうも教育現場は、みてくれの横並びがお気に入りのようです。
男らしく、女らしく

赤ちゃんの時から、男子と女子は差別ではないものの区別されがちです。ベビー服の色、髪の刈り方、遊び道具などなど、それぞれ男らしく女らしくと思ってしまうのですね。それは親として当然なのですが、子育ての中で「男だから女だから」と区別しないことが大切だと思います。子どもは自然と自らの性を自覚していくものです。
社会の中でも区別はあって、デパートなどのトイレ表示の色分けが、ピンクで「男」ブルーで「女」と書かれていたら、絶対間違えますよ。祖先からの家父長制のなかで刷り込まれてきた男女の差別や区別意識は、手強いものがありますね。

そもそも、『らしさ』っていったいなんだろう

それぞれの特性

「差別はしないけど区別はするよ」という声もありますが、私は、男だから女だからと差別してはいけないし、区別してもいけないと考えます。そして、男女は平等ではないのです。男性には男性の役割や特性があり、女性には女性の男性とは違う役割や特性があると思います。あらゆる場面でそれぞれの特性を生かし、協調して協力して仕事や人生を作っていくのです。そのモデルは家庭だと思います。安直に扱いを同じにするだけで平等にはならないし、区別から協調は生まれません。平等であって欲しいのは、進学や就職、結婚などの生きていく上でのチャンスです。機会均等ということです。
一人親の母親との個人懇談で「お父さんがいない分も代わりに頑張り過ぎてませんか?お母さんは100%お母さんであるだけで十分なんですよ。」とお話ししたことを思い出しました。

編集後記
今回は男女平等、がテーマでした。『カテゴリーで区別しないこと』というのは子育てにおいて、とても重要に感じています。自分の中で言わないように気を付けている言葉がいくつかあります。それは『お姉ちゃん(お兄ちゃん)なんだから○○~』『女の子(男の子)らしく○○しなさい』こんなフレーズです。
でも女の子であり、『お姉ちゃん』という立場だからこそ、できることがあるのも事実です。生まれ持った性別、兄弟の立ち位置などは自分で望んだものではありませんが、そこから得るもの、学ぶことはたくさんあると信じています。何にもカテゴライズされない『1人の人間』として素敵な人になって欲しいな、と願っています。