産婆の手しごと第15回目:子どもたちを守るために~性教育の授業から感じること~

産後ケア助産院マーノの助産師、佐原(さわら)さんと瀬野(せの)さん。お2人は函館市内の産院で、妊娠中~お産、産後のママに深く関わってきました。目指すは【ママを孤独にしない子育て支援を!】函館のプレママ、産後ママの生活や気持ちに寄り添う『産婆さん』として、すべてのママが子育てを楽しめることを願いながらコラムを綴ります。ご覧ください。

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佐原さん
佐原さん

私は函館性と薬物を考える会という会に中央病院で働いているときから入っていて、会に所属の助産師として、主に中学生の性教育授業の方に携わらせてもらっています。まだまだ自分は勉強の途中なので会の先輩助産師さんや学校の先生にアドバイスを受けながら毎回いろんな発見をしながら授業を受け持たせていただいています。なので、私が記事として書くのもたくさんの性教育のベテランさんがいる中でおこがましいこととも思うんですが、自分が授業にいったりするなかで感じたことを書かせてもらおうかと思っています。

幼少期からの性教育の大切さ
授業をするからには!とリモートでの他県の講習会などもうけたり書籍などで勉強をしているんですが、その中で思う事は、やはり小さいうちからの性教育って大事だなっていうことでした。
性教育って、伝える側も教えてもらう側も少しとっつきづらい内容ではありますよね。どこまで話せばいいんだろうか、とか、正しい知識ってどう伝えればいいんだろうか、こんなこと話していいのかとか。私はいまは教える側になっていますが、小さい時、性に関する事ってすごく嫌悪感があって、中学・高校の性教育の授業では仮病使って休みました。そのくらい嫌でした。なので、保健体育のペーパーテストでは満点とっていたのに、性について理解しようとしていなかったので中学校の2年生くらいまで本気で赤ちゃんってお尻の穴から鶏の卵が生まれるみたいに生まれてくると思っていたし、自分の身体の構造もなにも全然理解していなかったんです(お恥ずかしい・・・)でも、大人になって、自分の身体の事とか、男女のコミュニケーションの取り方とかちゃんと知るべき事をきちんとした時期に知らなかったことで先の将来で起こることについては何も考えていなかったんだな、と自分の人生反省しきりです。ちゃんと受けていればよかった・・・。
自分自身の反省から助産師として思うのは、命のたいせつさと一緒に自分自身の大切さを知ってもらうことや自分自身を守れるのは自分ということを子どもたちにきちんと教えて伝えていくことが大人の役割じゃないのかな、ということです。性に関してはある程度継続して発達の段階にあわせてその都度伝えていかないと、残念ながら行動に結びつきにくい。学校などの授業だけでなく家でも小さい頃から繰り返し伝えていってもらえればなと感じています。

自分自身を守る
まず、「自分自身を守る」という観点から小さいうちから子ども達に伝えてほしいのはプライベートゾーンを守るということです。プライベートゾーンについて「大事ないのちにつながる大事な場所だから」と伝えて、プライベートゾーンは水着で隠れる場所+口というように教えるとおもいます。「人に見せない、人にさわらせない、人のを見ない、人のをさわらない」ってとても大事な事なんですが、小さい子に教えるときにはまだ意味がよくわかっていなかったりします。なので、プライベートゾーンについてこの原則と「もし触られたりしたら嫌ってちゃんといわなきゃいけないよ」「もしそんなことがあったらお母さんやお父さんにちゃんといわないといけないよ」ということも何度も繰り返し伝えることが大事だと思っています。


小さい子に限らず、とっさの時って声が出ないし、嫌ってすぐに反応ができないことがあります。怖いことに直面したときってみんなそうだとおもいます。大人だって怖くて声が出ません。ましてや、小さい子にいたずらをするような卑劣な人は「これは秘密だからね」「パパやママにいったら怒られちゃうよ」など脅すように口止めをします。悲しいことに、加害者は顔見知りが多いのも事実で、被害を受けた子が優しい子であればあるほど、親や周りにことを考えてしまっていいだせなくなったりしまっていることもあります。そして、被害を受けた子は長い間のトラウマを抱えて傷ついてしまう事にもなります。

 

「嫌」という意思表示
プライベートゾーンを知って、お互いに嫌な事はしないこと、「嫌」って意思表示を言えること、もし被害に遭ってしまったら、あったことを親や大人に伝えられること、これが子ども自身が自分を守るためにとっても必要な知識と行動だと思うのです。また、この先、子どもたちが被害者にも加害者にもならないために(何気なく小さい子がじゃれあって他の子のズボンをおろしたりとかも入ります)この「人に見せない、人にさわらせない、人のを見ない、人のをさわらない」を保育園や幼稚園に行って他の子と関わるようになるので「されたら嫌な事なんだよ」とちゃんと子ども自身がわかって人に接する事ができるように、わかりやすい絵本などで事前に正しい知識を覚えてもらうことが、子どもたちを守ること、子ども自身が自分を大事に守っていけることの一歩ではないかと思っています。※子どもに性を伝える絵本、自分を守る絵本の特集が絵本ナビさんで掲載されています。

子どもが相談できる信頼関係
大人になんでも話しやすいように日々の関わりで信頼してもらうのもとっても大事です。日々の親子のコミュニケーションはその中でもとても大切なものだと思います。つい子どもの言葉を遮ってしまったり、「そんなことないでしょ」と否定してしまったりは日常での会話の中でもあることだと思いますが、これが続いてしまうと「言っても聞いてくれない」「わかってくれない」と心を閉ざしてしまいます。
家庭での寂しさからSNSやその他のツールで見ず知らずの人に相談してしまったがために性犯罪に巻き込まれてしまったということも最近多くみられます。今はSNSでの性犯罪に巻き込まれるケースの低年齢化が進んできているようで、小学生が被害に遭うケースも増えてきています。

心や身体の事で、子どもたちに伝えなくてはいけない内容はその発達の段階によって違いはありますが、根底にあるのは「自分の命も他人の命も大事にできる」ということ。親は子どもが悩んだときに信頼して話せる人の一人になること、正しい知識を人生の先輩として子どもたちに伝えていくこと、親から子に伝えていかなくてはいけない「性教育」はこれなんじゃないかなと私個人は思っています。
話を耳を傾けてよく聞く。これってすごく簡単なようで、凄く難しい。話の腰を折らずに最後まで聞くのもなかなか日常では難しい場面もあります。大人でも子どもでもちゃんと話を聞いてくれる人に信頼感は芽生えます。日々のコミュニケーションが命を救うこともあります。

相談窓口
子どもから相談されて、自分もどう動いていいかわからない、そんな時もあると思います。困ったときに函館市のホームページなどにも相談窓口が載っています。この相談窓口がある、ということも皆さんに知っていてもらいたいと思っています。警察だけでなく、医療機関やカウンセラー、弁護士さんなどが関わっていて、相談に関しての研修を受けた方達が相談窓口を運営しています。
また、どう性について伝えようと考えたとき、いろいろな性教育の本なども出ているので、探してみてみるといいと思います。ネットを上手く使いこなせる子が多いので、子どもたちが知り得た情報の中には間違った情報も一緒に入ってきます。それを間違っていると教えるときにも役に立つと思います。

性暴力被害者の相談 | 函館市
北海道函館市の行政サービスポータルサイト。住民登録、子育て支援、高齢者福祉、保育園入園、医療保険、介護保険など、暮らしに必要な行政サービスをまとめてご案内します。
産後ケア助産院マーノ
函館市美原3丁目59-7
電話 090-2074-2059
E-mail mano35jyosanin@gmail.com
HP https://35jyosanin-mano.amebaownd.com/