ひっぽのひげ文庫 vol.52「1945年 夏」

函館市神山にある【えほんカフェひっぽ】。店主の中川裕司さん(通称 ひげさん)がおすすめの絵本を紹介してくれます。子どもだけでなく、大人にも響く絵本の数々をお楽しみください。
『ひげのつぶやき』では、父であり、教員経験のあるひげさんが見つめる子育てや日常のアレコレを綴ってくれます。これが心に沁みるんです~。どうぞご覧ください。

読者の皆様こんにちは。お変わりありませんか。
先日までの異常なほどの暑さは、落ち着いてきましたね。お盆が過ぎて、湿度も下がり夜の涼しさが戻ってきた感じがします。やっぱり湿度が高いと暑さが倍増するような気がします。この頃「不快指数・90%」とかって聞きませんな。使わなくなったんでしょうかね。

さて、8月のひげ文庫です。

「1945年 夏」
文・絵:みさきまりあ
定価:本体1,200円+税
文芸社

初版第一刷【2025年8月9日】発行
(日付にもこだわった絵本なんですよ・・・購入したのはまだ7月でした)

作者はオランダ生まれの19歳の現役高校生、長崎の祖父の被爆体験の絵本です。
最初は高校の課題として英語で作ったのですが、文芸社の目に留まり日本語での出版となりました。文章だけならいざ知らず、イラストまで手掛けていることが素晴らしいのです。
おじいさんは、1945年は9歳、長崎市内から山ひとつ越えた祖母の家に疎開していて、あの日を迎えました。穏やかな天気と変わらぬ疎開生活の日常の中、11時02分まず強烈な光、そして轟音、キノコ雲。その惨状をおじいさんは淡々と語り、孫のまりあさんは文章に起こしてイラストを描きました。語り継ぐことの大切さが伝わります。

今年は終戦から80年です。ますます戦争の記憶は風化し、ますます戦争へのきな臭さは増すばかりです。世界のあちこちでの戦禍は絶えません。今一度、戦争反対、世界平和への思いを強めなくてはならないのでしょう。

 

チクタクといつもと変わらず時を刻む時計、針が11時02分を指した瞬間…見開き真っ黒なページ。文字もないその真っ黒なページに、一緒に読んでいた息子と顔を見合わせました。
一瞬にして奪われた日常、大切な命。
その恐ろしさをしっかりと感じ、忘れてはいけないと思いました。

 

 

 

 

 

 

先日、小上がり席で遊んでいた年長さん位の男の子が太鼓の皮に穴をあけてしまいました。
ひっぽではたまにある事件です。おそるおそるお母さんが謝りに来ました。もちろん笑顔で受け止めました。『子どもと一緒に謝りに来ると良かったのになぁ』と思いました。失敗したら謝るという経験を子どもにさせることが大切なのです。

『失敗を回復させてあげたいな』と思い、『一緒に直してあげようよ!』太鼓の皮がケガしたのですからサビオをその子と一緒に貼ってやろうと声をかけました。子どもはこっちには来てくれませんでしたが、作業が見えるように穴にサビオを貼りました。チラッチラッと子どもが気にしていました。サビオが貼られた太鼓の皮を見て安心してくれたらいいのです。

ひげのこの顔ですから、ひどく怒られると思ったのでしょう。かわいそうに・・・。その子の気持ちの中に、失敗したらこうしようということが残ってくれたらいいなぁと思った出来事でした。

 


お盆も終わり気が付けば8月も後半。
ダメですね、すでに冬の寒さを考えてしまいます。

さて、子どもの失敗
つい反射的に怒ってしまいます。そうすると子どもは次から嘘をついたり、顔色をうかがったり。
あぁ良くないなと反省したこともあります。
「太鼓にサビオ」、まるでことわざみたい♪
きっとその子はホッとしただろうし、もし周りの誰かが失敗した時手を差し伸べることができるようになったらいいですね。
そういえば、我が家に穴の開いた新品の靴下があることを思い出しました。
おばあちゃんに買ってもらった靴下、値札を取ろうと靴下までハサミで切ってしまった娘。
帰ったら一緒に縫おうと思います。

ままっち!編集部 Tammy

えほんカフェひっぽ
住所 
函館市神山3丁目64-2
TEL 
0138-87-2691
営業時間 
11:00~18:00
定休日 毎週火、水曜日
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