『あつまさ先生の道しるべvol.51』~子どもの近視の原因と予防対策~

子どもの視力低下は身近な健康課題となっています。ロート製薬が2024年に小学生の子どもを持つ親に調査したところ、裸眼視力1.0未満の小学生は3人に1人以上。5人に1人はメガネやコンタクトレンズを使用しており、その7割は近視用とのこと。子どもたち自身も「授業中に黒板が見えにくい」「目が疲れる」「姿勢が悪くなる」など生活に影響があると答えているとのこと。

また、文部科学省が毎年行っている学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の子どもは小学校で3割以上、中学校で約6割、高等学校で約7割。過去40年以上にわたり増加の一途をたどっています。コロナ禍の影響で調査時期が異なるため単純な比較はできませんが、2022年の調査では中学校で約38%、中学校で約61%、高等学校で約72%と、数値上過去最高となる非常に高い割合となっています。

では、なぜ近年子どもの近視が増えているのでしょうか。

子どもの近視が増えている原因

近視は遺伝と生活環境の両方が関与していると言われていますが、近年、子どもの近視が激増しているのは、子どもたちを取り巻く現代の生活環境の変化の影響が大きいと考えられています。

★外遊びが少なくなった
★スポーツなど外で遊べる時間・場所・仲間が減った
★スマートフォンの普及
★タブレット学習が増えた
★勉強時間が増えた
★寝る時間がおそくなった
★睡眠時間がへった

近視になるリスクを調べた研究結果(インドの都市部の1万人ほどの小中学生を対象)では、テレビやコンピューター・ビデオゲームなど、特に長時間にわたる作業が近視リスクを高めることが明らかになっています。また、慶応大学病院など全国の6カ所の眼科医療機関に来院した患者を対象に、睡眠と近視の関係の分析結果、強度の近視の子ども(10~19歳)は、近視でない子どもに比べて就寝時間が遅く、また睡眠時間が短いことが分かったそうです。

こんな子どもは、近視になりやすい

①外遊びをあまりしない
②スマートフォンやゲームを一時間以上続けてやる
③園や学校の休み時間は、教室にいることが多い
④親が近視
⑤寝る時間がおそい
⑥睡眠時間が短い
⑦30㎝以内の距離で本を読む

※複数あてはまる場合は、将来、近視になるリスクが高まるといわれています。

子どもの視力に異常があるときのサイン

・見えにくそうに目を細める
・目つきが悪い、横目で見る
・黒目の向きが変
・目をこすってばかりいる
・上目づかいをする
・テレビや本などを見るときに顔を近づける
・目をパチパチさせる、目をたたくしぐさをする
・勉強をするときなどの姿勢が悪い

近視予防のために家庭でできること

 野外活動を意図的に増やす 
近視の発症予防には屋外活動が有効であることがいくつかの研究で明らかになっています。そのためには、外へ出て太陽の光を浴びましょう。屋外で過ごす時間が長いほど近視発症リスクは低下するといわれており、理想は1日2時間。この2時間は連続でなくてもOK。通園・通学時間、外遊びや体育の時間など、1日の合計で2時間を目指しましょう。直射日光ではなく、屋外であれば建物の影や木陰、くもりの日でもよいと言われています。また、太陽光に含まれる特定の波長が近視の進行抑制と関連しているとの報告もあるそうです。

 近くを見るときは、30㎝離す 
ノートやタブレット端末、スマートフォンや携帯型ゲーム機など、視距離が近ければ近いほど、近くにピントを合わせる調節力が働き、目の疲れや近視のリスクが高まります。30cmの視距離を保ち続けるために、近くのものを見るときは、よい姿勢も習慣づけるようにしましょう。勉強机に向かうときなども気をつけましょう。

 30分に1回は、目を休める 
ノートやタブレット、スマートフォンの使用など、近くを見る作業を長く続けると、目に負担がかかります。目を休めるために、30分に1回は20秒以上遠くを見て、目を休めましょう。
※米国眼科学会議では「20-20-20 ルール」を推奨しています。連続して20分デジタル端末画面を見たら、20フィート(約6m)離れたところを20秒以上見る、という内容です。

 質の良い睡眠をとる 
強度近視の子どもは、そうでない子に比べて、睡眠の質が低いことが明らかになっています。よく眠るには日中に光を浴び、夜は光を落としていくなどして生活リズムを整えることが大事です。また、パソコンやスマートフォン、ゲーム機などの画面から出ているブルーライトには「体を目覚めさせる」働きがあるといわれています。寝る1時間前までには、使用を終えるようにしましょう。

 近視予防は早目にとりかかる 
小学3~4年生で近視を発症するケースが多いのですが、最近は低年齢化が進んでいます。早い場合は6歳未満から近視になることもあります。子どもの目にとって重要な時期は6~8歳頃までといわれています、年齢があがるにつれて近視は進行する傾向にあるため、予防は早めにとりかかることをおすすめします。

 普段から目の定期検診を受ける 
大切な子どもの目。幼稚園や学校の検診以外に眼科で定期検診を受けることをおすすめします。いったん近視になってしまうと、視力低下がどんどん進み日常生活や学校生活等での不便さが増してきます。

 

私が感じた近視の不便さ

あつまさ先生
あつまさ先生

近視は眼鏡やコンタクトで矯正できるが、学校生活や日常生活、スポーツ等で不便を感じることが多くあります。実際、私は中学2年の時に近眼になり度数が進んで今に至っています。不便さを感じたことを列挙すると下記のとおりです。

★近視の度数が進むたびに眼鏡を買い換えなければならないので経済的負担が大きい
・車の運転時用、温泉や風呂用、読書や作業用と、現在も眼鏡3本所有
★運動や安全に楽しめるスポーツに制限がある
・体育授業の器械運動(特にマット運動)や水泳、柔道など
・体の接触が多いスポーツ(バスケットボール・サッカー・バレーボール等)では、眼鏡が邪魔でけがのリスクが高まるので敬遠した
・眼鏡をつけて、ただ走るだけでも鼻パットがあたり痛くなる
★温度や湿度の差で、眼鏡が曇る
・冬期間、冷えた屋外から暖房が効いた屋内に入るとき、眼鏡が曇り一時的に前が見えなくなる
・温泉や銭湯を利用するときは、風呂用の眼鏡をかけないと危険
★正しく矯正されていない眼鏡をしているときには、遠くがハッキリ見えず、知り合いに挨拶ができず失礼することがある
★近視の度数は年齢を重ねるにつれ進み、レンズで矯正しても適性視力を保てなくなる
・車の運転では、夜間や高速道路での走行に不安を感じる
★コンタクトを使用したことがあるが、外し忘れや洗浄が面倒なので眼鏡に替えた 等々

※一旦近視になると回復するのはかなり厳しいようです。

 

我が子には、幼少期から不便さを感じさせないで、
快適に日常生活や学校生活を過ごさせたいものですね。
そのためにも、前述した近視の原因を家族みんなで再確認し、
予防対策を実践してみてはいかがでしょうか。
「目は口ほどにものを言う」「目は心の鏡」
そんな目を大切に…

2024年も「あつまさ先生の道しるべ」をご覧いただきありがとうございました!
vol.40~51、今年も子育てに関する様々なテーマでお届けしてくれたあつまさ先生。
2025年1回目のテーマは「SNSが子どもに与える影響」についてをご紹介します!
来年もどうぞよよろしくお願いいたします✨
【次回公開予定日:2025年1月29日(水)】