産後ケア助産院マーノの助産師、佐原(さわら)さんと瀬野(せの)さん。お2人は函館市内の産院で、妊娠中~お産、産後のママに深く関わってきました。目指すは【ママを孤独にしない子育て支援を!】函館のプレママ、産後ママの生活や気持ちに寄り添う『産婆さん』として、すべてのママが子育てを楽しめることを願いながらコラムを綴ります。ご覧ください。
こんにちは、助産師の佐原です。イクメンという言葉が定着してから何年か経ちますが、どこでもよく聞くのが「パパができているというレベルと、ママがパパに求めているレベルに違いがある」ということ。そして、時にはその違いのせいで喧嘩になってしまうこと。
パパはパパなりに凄く頑張っている、ママはママなりに育児を頑張っているパパを認めているのにどうしてすれ違いが起きてしまうのでしょうか?今日は、パパ育休制度とパパ育児についてお話していきます。
前の記事にもパパは頑張っているママに「頑張っているね」と声をかけるだけでママは救われた気持ちになる、と書きましたが、正直、毎日の中では気分の浮き沈みもあるし、外で働いてきて嫌な事もあればよいこともある、そんな中で気持ちに余裕がなくなってしまって、優しい言葉をかけられない事もパパ達はあると思います。それはママもしかりで、パパが頑張っているのをわかっているけれども、自分のことと赤ちゃんの事で精一杯で時には八つ当たりをしてしまうことだってあると思います。
育児も状況によってはママもパパも24時間休みなく働いているのと同じです。私も24時間以上ぶっ続けで働いたことが若いときからありますが、そんな時に、私はお師匠さんからの差し入れのおにぎりをゆっくり食べれたことでなんと救われたことか!そうなんです、お互いに気持ちの余裕をもって、優しくなれるような状況にするのって、ほんのちょっとのほっと一息つける状況だったりなんです。
パパ育休の取得促進が法律の改正でなされていますが、せっかく取得しても、ママと育児で喧嘩しちゃったなんて言うのはお互いに悲しいですよね。そのために、ママとパパでしっかり事前に「打ち合わせ」をしてもらいたいと個人的には思います。
両親教室では、けっこうパパの育児=「沐浴」という感じで考えている人も多くいるんですが、沐浴は1日の育児の内のだいたい15分くらいです。それに比べて寝かしつけや、授乳にかかる時間は1日の内ですごく比重が大きいのと、プラスして家事を行っていたら、ワンオペのママだったら、ほんとに寝る間を惜しんでの家事育児で休む時間はないこともあります。そんな状況の中、お互いに気持ちよく頼り合えるには具体的に「打ち合わせ」はどの様に行えばよいかなと思いますよね?ポイントを挙げて、お話していきます。
<ポイント1、ライフサイクルを見直す>
ライフサイクルを見直すと言っても、修正はすることはありますがガラッと変わるわけではありません。まず、ママの1日、パパの1日(仕事のある日・ない日)の過ごし方をお互いに確認してみましょう。円グラフみたいにして図にしてもいいかと思いますが、何時に起きてとか食事は何時になども少し細かめにお互いを把握しましょう。その中で「この時間は凄く疲れている」というところや「ここを変わってもらえると休める」というポイントについて話し合いましょう。ほっと一息つける時間があるだけでもお互いに優しくなれます。ほっとポイントをお互いに作れるように時間配分などを考えましょう。例えばパパもママもどちらもですが、すごく疲れながらも育児を頑張っている横でずっとゲームなんてしていたら、かなりカチッときます。自分の遊ぶ時間などもしっかり配分を決めて話し合いましょう。
<ポイント2,分担を決める>
ライフサイクルの見直しでお互いに代わってほしい家事や育児について話をしたら、次はしっかり家事や育児の分担を決めてしまいましょう。その時々でどちらがやる、というようにしてもいいんですが、曖昧にしておくとどちらかがやったと思って、そのまま放置してしまったときには喧嘩の元になります。はじめは分担を決めて、慣れてきたらその時で「やるよ」と声かけをして代わったりしてもいいかと思います。
<ポイント3,同じスタートではないことを意識する>
これはママにも伝えたいんですが、パパの育児に関するおむつ交換や抱っこ、寝かしつけなどの技術の習得はママと同じスタートじゃないことを伝えたいと思います。ママは入院中に抱っこや授乳、寝かしつけなどを教えてもらって練習して、ある程度できる様になって退院しますが、パパは今はコロナで面会制限でママにも赤ちゃんにも会えないし、育児の練習と言っても両親教室に参加して1回くらい人形で練習できる程度(コロナで両親教室に参加できないこともあるので動画とかで見る程度の時もあります)経験値が違うところからのスタートなので、パパがママと同じレベルで抱っこなどがすぐにできるようになるとは限りません。見ていてソワソワしてしまう場面もママにはあるかもしれません。同じくらいのレベルを求めるのであれば、根気強く実際にやってもらう回数、経験値を積んでもらうことです。パパは積極的に経験値を積みましょう。そして、ママも自分のやり方をはじめのうちパパに伝えなくてはならなくなります。伝え方もお互いに「これはわかっているだろう」とおもうと実際はちょっと差があったりして、疲れていると些細のことでイライラしてしまうので、細かすぎると思っても初めのうちは細かく確認をしましょう。(よくあるのがミルクの量だったり冷ます温度だったり)そのうち技術が自分の物になれば「~だよね?」と確認を相手からするようになってくるので、そうなったら免許皆伝でよいと思います。
身近で一番頼りにしたいパパが育休制度がとれるようになったのは本当にママにとってうれしいことだと思います。一緒にいる時間が長くなる分、パパとママのコミュニケーションとお互いの背中を預けられる戦友のようなコンビネーションがものをいいます。日頃からのコミュニケーションを大事にパパママが育児ライフを少しでもこの制度の導入で楽しめるようになれるといいなと願っています。
ままっち!スタッフ編集後記
ありがとうございました。パパが育休を取ってくれたらママもとても心強いですよね。育休を取得できなかったとしても、ライフサイクルを見直し・家事育児の分担を決めて、できる限り一緒に育児に取り組むことが大事です。育児をスタートした時にどれだけ一緒に赤ちゃんに向き合ってしてくれたか、ママはずっと覚えてます。今後の夫婦仲にも関わってくるのではないでしょうか。