『あつまさ先生の道しるべvol.27』『小規模校(熱郛小)の大きな教育力』~平成8・9年度にタイムスリップ~

先生方から児童への励ましのメッセージ編

ことばを形に
校長 中村 勝美
いよいよ閉校の時がきました。寂しく残念なことではありますが…。ほんの2年間でありましたが、皆さんとは本当に楽しい時を過ごさせていただきました。朝、真っ先に職員室に来て「おはよう」の挨拶。帰りは「さようなら」の、明日を約束させる満ち足りたように元気な挨拶。
挨拶は、心と勇気をかよわすことばだねって、全校朝会で話したことばは、すぐ形になって返ってくる素直さ。この地の子どもは96年間、そうやって澄んだ瞳を輝かせて校門をくぐり、智を磨き、体を鍛え、心を練ってきたのでしょう。
合言葉、それは「愛すること」「信じること」「待つこと」でした。自分の長所を見つけて、自分を好きになること。世の中に、一人はあなたを信じている人がいることを信ずること。今、解決しなくても、明日解決する。努力しながら、じっと待つこと。そんな話をしてきました。種は蒔きました。「大丈夫か?」「大丈夫だよ」。こんな合言葉が、よりしっかりした形になるように、頑張ってくれることを、いつも願っている一人です。
熱郛で見つけたすごい
5・6年担任 佐藤 誠二
学芸会の体操発表。小さな体であんなに高い跳び箱が飛べました。全校劇、あんなに長いセリフも覚えました。何時間もの間テレビカメラの前で堂々としていられました。どんなに素晴らしい台本があっても、どんなに素晴らしいプロデューサーがいても、それを演じる一人ひとりの”力”と、みんなの”力”がなければ絶対に成り立たなかったことです。
みんなは、家族や友だち、熱郛小学校の先生方や校舎、熱郛の地域、そしてそこに住む人々から温かく支えられ、育ってきました。
新しい学校へ行っても、自分の”力”とみんなの”力”を信じ、何事にも前向きに取り組んでいくことが、自分を支えてくれた「人たち」への、最高の恩返しになります。
小さな地域の小さな学校から、大きな可能性と大きな希望を持って、さあ出発だ!!
夢を探して出発だ
2・4年担任 松田 順子
つい最近、「卒業するまで熱郛小にいたかったな」「ぼくも、ずっとここにいたかった」教室で子どもたちが話していました。私も全く同じ気持ちです。「いつも明るく元気いっぱい、やる気いっぱいの熱郛の子どもたちとまだまだいっしょにいたかった」そんな思いは今もあります。でも、3月で閉校。逃げられない現実です。ですから、せめてこれから先も、ずっと熱郛の子どもたちを陰ながら応援し続けていきたい、そう思っています。
今まで、音楽の時間にやった曲は、どれもみんなと一緒に歌いたい、演奏したいと思って、選んだ曲です。どの曲にもそれぞれにメッセージがあります。♪誰でもみんな 時の夢追い人さ 今飛び立って未来へ ♪涙の数だけ 強くなれるよ。アスファルトに咲く花のように ♪君を忘れないよ 互いの道歩こうとも どこかで 逢えるといいね ♪負けないように くやまぬように あなたらしく 輝いてね ♪道の向こうを見つめ 夢を探して出発だ
苦しいこと、悲しいことがあって、涙を流すようなことがあるかもしれない。自分の思うようにならなくて、くやしい思いをするかもしれない。でも、そんな苦しみを乗り越えられる逞しさを熱郛小でのいろんな活動を通して、身につけてきたんじゃないかな? どんなことがあったって、「だいじょうぶだょ」、家族が、仲間が、先生たちが、応援してくれている。大きな夢をもって、自分らしく生きていこう、頑張ろう!! さあ、道の向こうを見つめ、新しい出発だ!!!
この記念誌を生きる力の糧に
教頭 1年担任 佐藤 篤正
この記念誌を、先生方や協賛会の人たちが、どんな想いで編集したか…、分かってほしい。こんなに小さな学校でも、みんなの心が一つにさえなれば、手の届きそうもない夢や希望でも、叶うものである。できるようになりたいと願い、周りの人に励まされながら、継続して努力すると、その願いはいつのまにか叶う。全校劇やTV出演でみせたチームワークの良さ。一輪車やニセコで見せたスキーの上達ぶり。1年生の頑張りが目立った、この一年。その頑張りの源が、脈々と受け継がれてきた伝統「熱郛魂」にあることを、この記念誌は語ってくれている。よき先輩や支援者がいたから、『輝いている今の8人がいる』。そんな素敵な8人と歴史の1ページを共に歩めたことを誇りに思う。みなさんありがとう!!!

 

熱郛小の教育は我が理想の教育

上記の通り、極小規模の学校なので事務職員、養護教諭、校務補等は配置されず一人で何役も担当することになっていたが、優秀な2人の教諭は、学級経営はもちろんのこと、学校行事や他校との合同行事、町教委主催の文化・体育行事の企画・運営、さらには校務分掌業務を意欲的に遂行してくれた。また、時間割の工夫で、体育、音楽、図工、総合などは全校一斉授業で対応してくれたので、その空き時間に教頭の職務を何とかこなすことができた。もちろん、学校長も率先して高学年の習字指導を担当したり、教頭がやるべき経理事務も補助してくれたりしたので、部下職員の負担軽減になっていた。まさしく、オールスタッフでスクラム組み学校運営に邁進した2年間だった。
それにしても、子どもたちの感性の豊かさと非凡な能力は賞賛に値しますね。「小規模校だから出来た教育、小規模校でも出来る教育」。熱郛小の教育は我が理想の教育。

 

『あつまさ先生の道しるべvol.26』~旧熱郛小学校 校舎解体前の「最後の授業」~
平成10年3月で閉校となり、11月中に解体される黒松内町立旧熱郛(ネップ)小学校(現熱郛地区生涯学習館)校舎で、9月17日18日に行われた「おわかれ見学会」の様子をご覧ください。

 


 

2022年も『あつまさ先生の道しるべ』をご覧いただきありがとうございました!来年も、子どもたちの「学び」についてご紹介してまいります。どうぞお楽しみに♪