『あつまさ先生の道しるべvol.32』~スクールバンドの魅力(前編)~

2022年9月23日、北海道小学校スクールバンド連盟函館支部創立50周年を記念する『第50回 函館地区小学校管楽器演奏会』が北斗市総合文化センターかなで~る大ホールで開催された。新型コロナ拡大防止のため3年ぶりの有観客での演奏会。コロナ禍で練習が制限された中、発表曲を仕上げステージで堂々と披露した各校の見事な演奏は観客を魅了。招待券を手に聴き入った私も、只々感動。バンドメンバーの努力に大きな拍手を送るとともに、指導者並びに会運営各位に感謝と敬意を表したいと思います。

この記念すべき演奏会には、函館市、北斗市、知内町から、楽器を奏でることが大好きな仲間が多数集まり、日頃の練習の成果を披露するとともに、互いの演奏を聴き合い、交流を深める貴重な場となりました。コロナ禍での開催でなければ、出演校も増え、プログラムの最後には合同バンド演奏(全出演校による)もあったのに…。

後日、演奏会を収録したDVDが顧問である私宛に函館支部から送られてきました。

臨場感溢れる演奏を何度も視聴できることに感謝したい。それにしても、子どもたちの演奏レベルの高さと表現力豊かな演奏に驚愕。

第1回の演奏会は昭和48年12月1日、函館地区小学校管楽器交歓演奏会として市民会館で実施。参加校は、函館市立青柳小、函館市立大森小、森町立石倉小の3校。昭和56年からは函館地区小学校マーチング交歓会も開催され、このマーチング交歓会は平成8年まで行われた。函館地区管楽器演奏会と名称が変わったのは昭和58年。以来、インフルエンザやコロナウイルスの流行のため中止になった年度もあったが回を重ね、令和4年度で記念すべき50回を迎えた。ちなみに、私が指導に係わった学校がこの演奏会に初めて出演したのは昭和50年の第3回大会。会場は、大森小学校(現 あさひ小)体育館。

昭和43年以前の道南のスクールバンドの演奏形態は、鼓笛隊や器楽合奏(アコーディオンが主)が主流であったが、昭和44年に函館市内3校に管楽器が導入され、その後市内の多くの学校にトランペット鼓隊や金管バンド、吹奏楽部が次々に創設された。

スクールバンドは、学校行事や地域行事での演奏機会が多く、指導者は演奏技術を高めるべく他校との音楽交流を深めながら切磋琢磨していた。そんな折り、有志の働きかけで、北海道小学校スクールバンド連盟函館支部が昭和46年結成。以降、指導方法の研修会や管楽器教室、定期演奏会などを脈々と実施し続け、創立50周年を迎えた。

先日、我が家に送られてきた創立50周年記念誌『ひびき』を読み返すと、函館支部が子どもたちに管楽器の楽しさや素晴らしさを伝えるために、積極的な活動に努めてきたことがよくわかる。

総88ページの記念誌『ひびき』には、渡島教育局・函館市教育委員会・北斗市教育委員会・渡島教育委員会教育長会・函館地区吹奏楽連盟・北海道小学校スクールバンド連盟等の代表者から寄せられた祝詞、顧問や会員からの回想文、現バンドメンバーや卒業生からの寄稿、支部50年のあゆみ、思い出のプログラム等々が満載。現役の時から係わった私にとっては、『ひびき』は思い出の宝箱。何度も読み返しては、函館支部の今後ますますの発展を願っている。

ここで、記念誌のなかの寄稿文を一部引用して、紹介したいと思います。

《特別寄稿~卒業生から》
北海道小学校スクールバンド函館支部創立50周年記念に寄せて

NHK交響楽団主席トランペット奏者  長谷川智之 氏

~前略~ 私は、上湯川小学校2年、8歳の誕生日に、一世を風靡したニニ・ロッソの日本ツアー函館公演を聴きました。初めて生で聴くトランペットの音色に魅せられ、すぐに父に楽器を買ってもらいました。そして、当時上湯川小スクールバンドの顧問、鳥羽先生に懇願し、本来4年生から入部可のところ、楽器を買ってもらったということで、3年生からスタートさせていただきました。それから30年以上が経った今でも音楽、トランペットへの情熱が変わらず持ち続けられているのは、鳥羽先生の音楽の授業、そして小学校のスクールバンドの活動の影響が根底にあるのだと確信しています。 ~中略~

「個性と協調の両立」が大切な音楽合奏、この社会の縮図とも言える、両者の価値観を磨くことを、小学校という早い時期からスクールバンドで積むことが出来たことは当時の仲間たちからも、音楽の道に進むこと無くしても、非常に糧となっている、と伺っている。
~中略~
私は、音楽は人間の日常生活において、必要不可欠なものと考えております。~中略~音楽があることで人々の心は豊かになっていることは確かだと思っています。~中略~  国境、言語を超えた世界共通のコミュニケーションツールである音楽が、世界の平和、人々の生活の潤いになってくれることを心から願っています。今後とも貴連盟の素晴らしき活動を以て、益々のご発展をされることを心より祈念いたします。

スクールバンド活動を経験した卒業生の多くは、その後も音楽の道を突き進み、指導者やアマチュア演奏家として活躍しています。
後編は、私がスクールバンドに係わった経緯を含め、更なるバンドの魅力を紹介します。
【公開予定日:2023年6月21日(水)】