パナソニック Panasonicを一代で築き上げた、日本を代表する実業家・松下幸之助氏が、掃除を “仕事と同等に重要なもの” とみなしていたそうです。「掃除を完全にするということは、一大事業である」「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」という言葉まで残しているほどです。
掃除は、脳科学的にもメリットがあることがわかっています。東京理科大学教授の篠原菊紀氏によれば、磨き掃除で反復動作を繰り返すと「セロトニン」という幸せホルモンが分泌されるとのこと。このセロトニンが分泌されることで、やる気や学習能力が高まることが期待されます。
また、精神科医の貝谷久宣氏は「掃除をとおして体を動かすと、ストレスが解消できる」といい、心と体はバランスよく使わないとストレスがたまると述べています。
さらに、心理学博士のシェリー・ボーグ・カーター氏は、スッキリと片づいた空間は、幸福感・平静・満足感といったポジティブな感情に関連づけられることがより多くなると述べています。
そうじ力研究会代表の舛田光洋氏も著書「3日で運がよくなるそうじ力」で、掃除の不思議な力を説いています。
1969年、北海道むかわ町生まれ。そうじ力研究会会長。
2006年7月、15年に渡る「心と掃除」の研究により開発した、運命好転実践ツール「そうじ力」による社会啓蒙活動を開始する。国内外30冊に渡る「そうじ力シリーズ」は、250万部を超える大ベストセラーとなる。国内での講演会や企業研修を中心に活動中。最近では韓国、中国での講演も好評を得ている。
2010年10月から、そうじ力講師制度をスタートさせ、そうじ力の普及に力を注いでいる。
以下、私が教員(学級担任や管理職として勤務していた学校や幼稚園)時代に先生方や子どもたちと一緒に実践した事例を紹介したいと思います。
★特に、新学期が始まる前に外窓と内窓を濡れ雑巾と乾拭きで丁寧に磨く
★壁は、天井付近から床に向かって埃を拭き取る(移動式の棚などの裏面も)
★冬季間は、窓際の壁が結露でカビが生えやすくなるので、乾拭きする
★窓や戸の桟にたまった埃は、定期的に濡れ雑巾で拭き取る
★玄関には、余計なものは置かず、来客用のスリッパの裏面もきれいに拭いておく
★下駄箱の掃除は念入りにし、靴の正しくきれいな置き方を徹底
★廊下は定期的にワックスがけをするとともに、歩行に障害となるものを置かない
★みんな(子ども・職員・来客)が使用する各トイレは、特に念入りに掃除する
★学期末ごとに、濡れ雑巾で廊下を拭き掃除し、仕上げに乾拭きで磨く
★特に冬季間、湿度が低くなるので換気や加湿器等で室温と湿度をコントロールする
★教室に加湿器がない場合は、濡らしたバスタオルをハンガーにかけて適当な場所に吊るす
※教室の掃除を徹底し、適度な換気と湿度に心がければ、インフルエンザ等の感染症の予防になる
★体育館やお遊戯室の各種遊具の適切な設置・保管場所は、写真やラベルで掲示しておくと使用後片づけやすくなる
★教室の教具は、地震等の非常時をも想定し、傾倒や落下するなどして避難経路を塞がないように設置する
※子どもに個人用ロッカーを与え使用させることは、整理整頓の大切さを学ばせる絶好のチャンス
★使用頻度が高く、衛生的に清潔さが求められる場所なので、水の飛び跳ねや排水の詰まりがないか頻繁にチェックし、必要があれば速やかに掃除する
★歯磨き時に吐き出す水が飛び跳ねないようにする方法を教える
※飛び跳ねた水が原因で、滑って転ぶ子が多いのもこの場所
★特に大勢が使用するお遊戯室のFF式のストーブのフィルターには、綿埃が短期間で付着するので頻繁にチェックし、その都度掃除機で吸い取る
※暖房や冷房機器の定期的な手入れと、機器回りの念入りな掃除を
★みんなで使った遊具を定期的に濡れ雑巾で拭き、天日干しする
※補修箇所があれば速やかに対処する
★玄関までのアプローチの日々のチェックと清掃を念入りに
★遊具の安全性の確認と清掃を職員全員で
★庭の植栽と花壇等の管理は安全と美化を考えて
子どもたちに健康で安全に過ごせる学びの場を提供するためには、整理整頓され掃除が行き届いた学び舎にすることが必須条件です。このことが確実になされると、おのずから運気が上がり関わった人たちに幸福が訪れます。
次回は、「子どもの幸せと掃除」についてご紹介します!
【公開予定日:2024年11月27日(水)】