世の中が新型コロナウイルス感染症によって一変したこの二年。函館近郊の子育てをとりまく状況にも、様々な変化がありました。幼稚園や学校での感染状況・対応は色々な所で耳にしましたが、妊娠・出産の現場ではどのようなことが起きていたのでしょうか?
今回は、函館市神山1丁目にある【こじま産婦人科】副院長、小島崇史(こじまたかし)先生からお話を伺ってきました。「安全、安心なお産」「患者さんに寄り沿う医療」を提供したい。産科医療の現場から妊婦さんを見守り続けたコロナ禍の二年についてお話し頂きました。
ままっち! 情報が錯綜し、社会全体が大きな不安に包まれていました。
小島副院長 インターネットなどで必ずしも科学的根拠に基づかない(ときに誤った)情報を受け取り、さらに不安を大きくしている方もいらっしゃいました。膨大な情報が日々アップデートされている中でどのような情報にアクセスし、解釈するかはとても難しいものですよね。医療に携わる者として、科学的根拠に基づく正確な情報を患者さんにお伝えする大事な役割があると考え、情報収集と啓蒙にも努めてきました。また、このような状況の中で安心して安全なお産ができる場を維持しなければならない、という思いを強くしました。近年では妊婦健診の際のご主人の付き添いや立ち会い出産などを希望される方がとても多いのですが、感染の状況を踏まえながらスタッフと何度も検討を重ね、対応を行ってきました。結果として面会や立ち会い分娩などに様々な制約が生じ、ご不便をおかけすることとなってしまいました。妊婦さん、ご家族はとても不安だったと思います。
ままっち! 一番心細い時期に人と人の接触を制限されたことで、妊婦さんにとって大きなストレスがあったのではないでしょうか。
小島副院長 その通りです。お産そのものに関する不安に加え、コロナウイルスという得体の知れない恐怖がありますよね。私たちが想像していた以上に、みなさん心細い中で一人ひとりが頑張っているんだ、ということを痛感しました。当院では国、自治体、日本産科婦人科学会などから提供された情報を患者さんと共有したりしながら、私たちのとれる最善の方法を模索しながら日々診療にあたっています。
その中で感じるのは、妊婦さんが抱える不安な気持ちをしっかり汲み取り、寄り添う姿勢の大切さです。専門的な立場からお応えできること、力になれることには全力で取り組みたいと考えています。
ままっち! では具体的には、こじま産婦人科としてどのような取り組みをされてきたのでしょうか?
小島副院長 立ち会い出産ができず心細さを感じている妊婦さん、また生まれた実感がわかないまま父親になることを不安に思われているお父さんやご家族のために、お産が終わり少し落ち着いた状態になってからですが、テレビ電話(リモート)で分娩室でお母さんと赤ちゃんがいる光景を共有していただく取り組みを行っています。妊婦健診も、診察に同行できないご主人にスマホのテレビ電話機能を使ってエコー中のリモート実況も行っています。一方で感染状況を見極めながら、段階的に立ち会い等の条件の見直しを行っています。11月からは条件付きではありますがご主人の分娩立ち会いを再開しました。健診付き添いや一般面会についてはまだ見合わせていますが、随時検討を続けています。引き続きご不便をおかけしておりますが、ご理解いただければ幸いです。
ままっち! 今現在のコロナへの対応や妊婦さんの様子など、どのような状況でしょうか?
小島副院長 妊婦さんに関する科学的な情報が蓄積されてきました。ワクチンが発症予防、重症化予防に高い有効性があり、ある程度時間がたっても効果を維持できることがわかってきました。コロナそのものに関するリスクもだいぶ具体化されてきたように思います。予防の仕方、ワクチンの重要性など科学的根拠を基にわかりやすく丁寧に説明することで、漠然とした不安を減らし、解決の可能性が見えてくるのかなと考えています。
ままっち! ありがとうございました。最後に、これから妊娠出産を控えているままっち!読者の皆さんへメッセージをお願いします。
小島副院長 コロナが長引く中で皆さん一生懸命妊娠生活を送っていらっしゃいます。私たちは、気軽に相談して頂ける役割でありたいと思っています。相談に乗れることで漠然とした不安が解決できるかもしれません。また、当院はお産中に妊婦さんを一人にしない、寂しくさせないお産を心がけています。妊娠中から産後まで、一人一人に寄り添い安心してお産ができることを目指しています。婦人科診療も行っていますので、妊婦さんに限らず、体調にご不安のある方はお気軽にご相談くださいね。