【前編】『Cheer up！』Baton.43 アップルムーン絵画教室・工房”月村朝子さん”

第43回【前編】

前回ご紹介したマイティーダックスフラワーズ黒川美樹さんからバトンが渡った43人目のゲストは、本通にある絵画教室『アップルムーン絵画教室・工房』月村朝子さんです。

函館市本通にある『アップルムーン絵画教室・工房』、月村朝子さんとご主人、娘さんの3人家族で、ご夫婦共に講師を務めています。取材にお邪魔すると、ちょうどご家族で太陽の周りにできた珍しい虹を観察中。美術を愛する方は、日常の些細な美しいものを見つけるのが上手なんだなぁと取材前から関心してしまいました。そんな優しい陽だまりのような雰囲気の月村朝子さん、絵を描くことを好きになったきっかけや、絵画教室を開くまでの歩みをご紹介します。

大好きな函館と祖父の影響
横浜で生まれ育った朝子さん。ご両親が函館出身で、夏休みなど長いお休みには祖父母が住む函館によく遊びに来ていたのだとか。どこからでも函館山を望める自然の豊かさ、おいしい空気、気持ちのよい潮風が大好きで、朝から夕方まで一人で散歩に出かける時間がとっても楽しかったそう。そんな大好きな函館にいつか住みたいと夢みた学生時代。
そして、絵を描いたりモノ作りが趣味だった祖父の影響もあってか、物心ついたときには絵を描くことが大好きだったといいます。良いものを使いなさいと、絵の具や筆など画材をくれ絵を描くことの楽しみや深みを教えてくれた祖父。そんな幼少期の家族が与えてくれたきっかけは、大人になった今でもはっきりと思い出せるし、大切にしたい”想い出”ですよね。

『明日の眺め』　作：月村朝子

描きたいと思うものを描けるようになりたい
人物画、風景画、漫画とジャンルを問わず全部好きですという朝子さん。幼い頃からこれまでずっと絵を描き続けてこられたのは、祖父を含め両親や学校の先生など周りの人たちがしっかりと向き合ってくれたからと当時を振り返ります。褒めてくれつつも子ども扱いせず、更なるステップアップのために難しい本を与えてくれたり、美術館に行くことを提案してくれたりしました。子どもだからこれくらいだろうという大人の勝手な線引きは禁物ですね。

『夢見月』　作：月村朝子

当時住んでいた地域に絵画教室がなく独学で絵を描いていた朝子さんは、中学生で「絵描きさんになりたい」と明確な夢を持ち、美術大学進学に向け予備校に通います。大学在学中には、予備校講師や漫画家のアシスタントをするなど経験を積み、卒業後はいろいろな仕事をしながらも絵から離れることはありませんでした。
その後、daigoの作者名で講談社発行の週刊漫画雑誌『モーニング』で行われる「ちばてつや賞」に一般部門で入選、漫画家デビューを果たします。ウェブ連載や、Panasonic製品の取り扱い説明マンガを担当するなど、漫画家としても精力的に活動しました。そんなさなかに起きた東日本大震災。ライフスタイルが大きく変わる中、家族のそばにいたいという想いが強くなり、地元函館に住まいを移していた両親の元へと七飯町に移住しました。後編では、七飯町で開講し現在の本通での『アップルムーン絵画教室・工房』について、授業の内容や月村さんご夫婦の教室へ通う方々への想いをご紹介します。