『あつまさ先生の道しるべvol.24』~世界の子どもたちの”習い事”事情~

我が子にどんな習い事をさせたらいいか、いろいろ考えている親御さんが多いかと思います。
前回では、日本の小学生の習い事事情を紹介しましたが、今回は、世界の子どもたちの習い事事情を紹介します。 なお、記載内容は海外在住経験のある日本人ライターの報告を主に参考にさせていただきました。

【アメリカ】男子にも女子にも共通して「スポーツ」が大人気

スポーツの中でも、「水泳」が日本と同じように一番人気の習い事。アメリカの小学校にはプールや水泳の授業がないので、「プライベートで習いに行って泳げるようにしておこう」と考える親御さんが多いようです。

男子には、「野球」「サッカー」「アメフト」「バスケットボール」「アイスホッケー」などのチームスポーツが人気です。
女子には、「バレエ」「ダンス」「体操・新体操」「フィギアスケート」「サッカー」などがとても人気のあるスポーツの習い事です。また、護身用に「空手」「テコンドー」などの格闘技を習っている子どもも男女を問わず多くいます。

広いアメリカでは、ご当地の習い事もいろいろで、海が近い地域では「サーフィン」、山や草原の多い地域では「乗馬」などもポピュラーだそうです。その他にも、隣国メキシコの公用語である「スペイン語」を学ぶ教室などもあります。

 

【オーストラリア】一番人気は「水泳」

オーストラリアはアメリカに次ぐ競泳大国。その理由としては、国としても泳力向上を図るべく政府主催の安価なレッスンをスクールホリデー中に実施するなどして力を入れています。競泳が強い理由としては、レッスンスタイルが少人数制(2~5人)で質の高いレッスンが受けられることも大きい。

その他の習い事としては、「サッカー」「テニス」「バスケットボール」「空手」「体操」「ダンス」「バレエ」「ライフセーバー」「ピアノ・楽器」などがあります。「ライフセイバー」はオーストラリア特有の習い事で、6歳から13歳が対象です。

 

【ニュージーランド】やっぱり「ラグビー」も人気

人気の習い事トップ5
男子…①水泳②ラクビー③サッカー④テニス⑤武道
女子…①水泳②ダンス③ピアノ④体操⑤演劇

小学校では夏季になると外部から水泳講師を呼んで授業をしたり、放課後にも希望者は学校のプールで水泳を習うことができます。その他、「アイスホッケー」を習っている男子もいます。ニュージーランドの子どもたちの習い事は、基本的にスポーツ系が中心です。

 

【イギリス】「楽器」の個人指導を受ける子が多い。男子の「サッカー」や女子の「バレエ」も人気

イギリスでは、日本のような集団での習い事は稀だそうです。学校が休みの土曜日の午前中などに習い事を入れる人が多く、土曜の朝はサッカーやバレエの恰好をしたり楽器を持ったりして歩く親子連れが街のあちこちに見られるそうです。

 

【フランス】男子は「武道」、女子は「バレエ」や「ダンス」が人気

フランスでは学校で行われるクラブ活動がないため、「子どもにもっとスポーツや芸術的な活動をさせたい」と考える親御さんが多く、習い事をしている子どもは比較的多いようです。

フランスの子どもの習い事として意外なのは、「柔道」を習う男子が多いこと。オリンピックなどで、フランスが柔道で好成績を収めることが多いのも理解できます。柔道に限らず、「空手」「合気道」などの武道系は男子に人気が高いようです。

女子は、やはり「バレエ」に憧れる子が多いそうですが、バレエは完全に私立のサービスなので、金銭的に余裕のある家庭でないとなかなか通わせてあげられないのが現実とのこと。実際には、公的サービスなどを利用して「ダンス」を習っている子が多いようです。

また、フランスは移民文化の国なので、両親の母国語を習う「補習校」などに通う子どももたくさんいます。
他に、男女ともに人気があり、これはフランスならではと思う習い事は「演劇」です。

 

 

【イタリア】男子は「サッカー」がダントツ人気。女子は「ダンス」が人気。また、「楽器」・「英語」・「武道」を習う子も多い

人気の習い事トップ5
男子…①サッカー②ピアノ・楽器③水泳④武道⑤英語
女子…①ダンス・バレエ②ピアノ・楽器③水泳④体操⑤英語

音楽教育がさかんなイタリアでは、「ピアノ」もですが「バイオリン・フルート」といった楽器を習っている子どもも多くいます。また、イタリアでも日本と同様に「英語」の習得に関しては積極的です。

 

 

【フィンランド】「乗馬」「水泳」「体操」「アイスホッケー」「ゴルフ」「楽器」など、たくさんの習い事があります

フィンランドの学校は、授業時間が日本に比べて少なく、しかも小学校から大学まで教育費が無償(学用品代や給食費も含めて)ということもあり、時間的・経済的にも余裕があることで親御さんはお子さんを課外活動に積極的に挑戦させているようです。

教育制度がとても整っているフィンランドの学校では、修士号を取得している先生による質の高い学びがなされています。そのため、学校での学びの習熟度が高いので、宿題の必要性がほとんどないそうです。そのことで、家庭では親子のコミュニケーションが密になり、子どもの趣味や特技に合わせた習い事を親子で選択できるのでしょう。

 

【中国】習い事に追われる子どもたち

2021年3月、上海に住む幼稚園児/小学生の子どもを持つ母親1200名を対象としたアンケートでは、幼稚園児でも平均2個以上掛け持ちで習い事をしているとのこと。習い事をしていない家庭はわずかに0.5%だけ。幼稚園児の約4割が3つ以上、小学校高学年では約3割が4つ以上も習い事をしています。

子どもの方から習いたいというよりは、「我が子の可能性は無限大。だから選択肢が多いほどいいいし、勉強以外に特技があると受験にも有利」という親側の考えのようです。

では、どんな習い事をしているのかというと「英語」は幼稚園から。なんと半数が英語塾に通っています。勉強以外でも幅広く、特に「運動」や「音楽系」が3割前後で上位にきます。学齢別にみると、幼稚園では「二胡や琵琶」「ピアノ」「美術」などが高め。小学校になると「勉強系」が増え、高学年になると「数学」「国語」の学習者が急増。これはまさに、中国の壮絶な大学入試「高考」にむけて勉強し始めるからです。習い事にかける費用は平均で月間16,000円程とのことです。

男女の比較では、女子は「ダンス」「美術」が高く、男子は「スポーツ系」が高いという差があります。

 

 

【韓国】男女とも「ピアノ」が一番人気

女子はもちろん、男子にも「ピアノ」を習う子が半数以上いるようです。でも、長く続ける子は少なくなるそうですが…。

韓国では「水泳」はマイナーだそうです。それは、競技用プール施設が少なく、小学校から高校まで体育の授業で水泳をやることがないからでしょう。

ピアノに続いて人気がある習い事は、「絵画」と「テコンドー」のようです。韓国では、美術コースを選択できる高校が多くて、絵画を専門で学びたい子は高校から学べるそうです。韓国の俳優やK-POPアイドルには芸術的な絵を描く人が多いのも、そんな環境があるからでしょう。

 

 

習い事一つとっても、国で様々ですね!
子どもの習い事が、オリンピックの成績にも通じているのもおもしろい♪
どちらにせよ、子どもの負担にならない程度に、やる気を引き出せる習い事を見つけてあげたいものですね♪

 


 

次回は『安心・安全な幼稚園の送迎バス』
昨今、とても悲しいバスの事故が続いていますが、園長先生を務めたことのあるあつまさ先生の考える、子どもたちの安心な送迎バスのあり方についてご紹介します。

次回公開予定は、2022年10月19日(水)です