『あつまさ先生の道しるべvol.20』~子どもを「算数好き」にさせるためには~

算数は、基本的な計算の方法や九九、公式など、必ず覚えなければ先に進めない教科です。ひとつでも理解不足のまま次に進んでしまうと、授業のペースについていけず、苦手意識が高まり嫌いな教科になってしまいます。
実際、小学生の苦手な教科の一番が算数だといわれています。しかし、小学校で学習する算数は中学校から学ぶ数学の基礎となる大切な教科なので、早いうちに子どもを「算数好き」にさせたいものです。

 

そのためには、

学校で習う内容を保護者が系統的に知っておく

あつまさ先生
あつまさ先生

函館市内の小学校で使用している算数の教科書は東京書籍なので、学年別に算数で習う内容を「令和2年度年間指導計画作成資料 算数-東京書籍」に基づいて紹介します。学年が上がるごとに、難易度がどんどん上がり、覚えることが増えていっていることがわかるかと思います。

 小学1年生 

小学1年生では「数の構成と表しかた」「足し算」「引き算」を習います。
数の構成と表しかたとは、個数をくらべたり、順番を数えたり、数の大小などのことです。また、時計の読み方や絵や図を用いた数量の表現なども学びます。
とくに重要なのが、足し算、引き算です。最初は小さな数同士の足し算、引き算ですが、繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算と難易度が上がります。これは、算数の基本なのですが、苦手になる子が多いので、しっかり理解できるようにしておきたいものです。

 

 

 小学2年生 

小学2年生の算数では「九九」が出てきます。九九は何度も唱えて完璧に暗記することが重要です。さらに1/2、1/3など「簡単な分数」「三角形や四角形などの図形」も登場します。
もちろん、1年生で習った足し算、引き算は、けたが増え、大きな数の計算もしなければなりません。筆算のしかたも学習します。また、長さの単位(1㎝=10㎜)や液量の単位(ℓ・㎗・㎖)、時間や時刻の概念も習います。

 

 小学3年生 

小学3年生で登場するのが「割り算」です。割り算は、九九が基本。すらすらと九九が言えるようにしておくことが大切です。また、足し算、かけ算の筆算も学びます。2年生のころにくらべ、3、4桁の筆算にレベルアップします。
割り算以上に難しく感じられるのが「小数点」「分数」。小数点と分数の意味を学び、足し算、引き算も学習します。さらに、「時刻と時間の求めかたや長さ・重さの測りかた」も習います。これは、時計や定規など、身近なものを使って学習しやすいので、家庭でも練習することができます。

 

 

 小学4年生 

小学4年生では、「折れ線グラフ」「表」が出てきます。そこから、特徴や傾向を読み取る統計的な見かたを学習します。また、「角の大きさ(角度)」や、「直線の垂直や平行の関係、台形、平行四辺形、ひし形、立方体、長方体」など、図形ついても学びます。さらに、「面積の測り方と表しかた」も登場します。
難関なのは、計算のきまりです。今までのような単純な計算ではなく、計算の順序に関わるきまりについて学びます。計算の中に、+、-、×、÷が出てくるので、混乱しないようにルールをしっかり覚えることが重要です。引き続き、割り算の筆算、小数の計算も学んでいきます。分数のかけ算、割り算も4年生で習います。さらに文章題も難しくなってきます。

 

 

 小学5年生 

小学5年生でも、「数のしくみ」を学びます。たとえば、整数及び小数の十進数としての特徴や、分数と小数、整数の関係を学びます。さらに、「偶数、奇数、倍数、約数」などについて知り、整数の性質についても習います。それらを理解した上で、小数のかけ算、割り算、分数の足し算、引き算、かけ算、割り算も引き続きやっていきます。
数の勉強について重要となるのは、「比例」です。伴って変わる2つの数量の関係を表を用いて考察することを通して、学習します。また、数量を比べることも学びます。平均を計算で求めたり、百分率とグラフで、全体や部分の関係を考察したりすることも登場します。
図形については、あらゆる図形が登場します。図形の合同の意味や合同な図形の性質などについて理解し,平面図形について理解します。また、「平行四辺形、三角形、台形、ひし形などの面積を計算で求める」ことや、図形の内角の和によって、図形の性質を見出すことも学習。さらに、「正多角形と円周の長さ(円周率)や、直方体や立方体の体積を計算で求める」ことも。角柱、円柱の意味や性質について理解し、空間についての感覚も学びます。

 

 

 小学6年生 

小学6年生は、1~5年生まで習ったことを活用しながら、さらにいろいろなことを学習します。引き続き、分数のかけ算、割り算の学習はもちろんのこと、図形については、「対称を学んだり、円の面積を計算で求めたり、角柱や円柱の体積」を求めます。また、「拡大図、縮図を描く学習」もあります。
さらに、2つの数量の比と比の値(割合)や量の単位のしくみ、並べかたと組み合わせかた、さまざまなグラフを用いて、「資料を調べる授業」もします。
ほかにも、数量の関係を文字を用いて式で一般的に表したり、文字を用いた式から数量の関係を読み取って具体的な場面に表したりすることを通して、式を活用する能力を伸ばします。
6年生で特に難しいのは、「速さ」「比例・反比例」です。「速さ」の学習では、速さの単位はもちろん、早さ、道のり、時間を計算で求めることを学びます。「比例・反比例」は、比例や反比例の関係にある2つの数量の関係を、式や表、グラフに表します。

 

 

 

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