ひっぽのひげ文庫 vol.42「もうじきたべられるぼく」

函館市神山にある【えほんカフェひっぽ】。店主の中川裕司さん(通称 ひげさん)がおすすめの絵本を紹介してくれます。子どもだけでなく、大人にも響く絵本の数々をお楽しみください。
『ひげのつぶやき』では、父であり、教員経験のあるひげさんが見つめる子育てや日常のアレコレを綴ってくれます。これが心に沁みるんです~。どうぞご覧ください。

読者の皆様こんにちは。ひっぽのひげです。
早くも10月ですね。夕方6時になるともう真っ暗になり、暑いと思えばすぐに寒いくらいになり、細いけどサンマが美味しくなり、アキアカネが舞うようになり、秋ですね。こうしているともうすぐにでも正月になってしまいそうですなぁ。何でも値上がりのこの頃ですが、何とか食べていける幸せを改めて感じます。
というつながりで、今月の絵本です。

「もうじきたべられるぼく」
作:はせがわゆうじ
出版:2022年 定価:本体1,400円+税
中央公論新社

オスのホルスタインの子牛が主人公で「もうじきたべられるのだそうだ」とつぶやきます。
メスの牛は牛乳が出るので救われますが、オスは食肉になるのが現実なのです。そんなぼくが最後に一目とお母さんに会いに汽車に乗ります。
懐かしい牧場についたものの、遠目に母を眺めるのが精いっぱい・・・。
さて結末は読んでのお楽しみに!
母親はいつだってどんなだって母親なのですね。
私たちがいただいている命にもいろんなドラマがあるのかも・・・。

先日子どもたちとひっぽさんにお邪魔して、ひげさんに読み聞かせしてもらいました。
言葉はなくイラストのみで魅せる結末。
もし私が母牛だったら…と思うと胸が締め付けられました。
特設ページでは、山口もえさんによる読み聞かせ動画もありますよ♪
「もうじきたべられるぼく」特設ページ

 

 

 

 

 

前回、「障害」という言葉を考えましたがその続きです。

今の学校はいろんな教科や活動を引き受け過ぎました。私は、学校では美しい日本語と計算能力と遊びと人との関わり方が教えられればいい、学校は人間社会を学ばせる場だと思うのです。

私が小学生だった頃は50人学級にいろんな子がいました。
字が書けない、計算は指でやる、吃音がある、目が合わない、鼻たれのいじめっ子のボス、会話が成り立たない等々、そんな子たちも友だちだから手助けして一緒に学び遊んで過ごしていたのが学級の普通の姿でした。グレーなんて失礼な言葉もなかったわけで、いろんな子がいるのが迷惑でもなく邪魔でもなく当たり前だったし、そこから自然に分かることも多かったのです。

まさに、人間社会を学べる場であったと思います。

今の学級にはそんな子はいなくて、平均的な子どもたちだけになってしまいました。体の不自由な方に出会ったとき「うわ~かわいそう!気の毒だ。」ではなく「何か手を貸しましょうか?」と声をかけられる大人でいたいと思うのです。


今年も残り3ヶ月。
毎度のことですが、この時期になると着る服がない~問題に悩まされます。
じゃあ去年は何着てたんだよって話ですが。
新しい服が欲しくなっちゃう季節ですね。

さて、「つぶやき」について。
この絵本を思い出しました。

「さかなくん」、ひげ文庫vol.30でご紹介した絵本。
クラスにはネコさん、キツネ君、トカゲさん、にんげん君、さかなくんと個性豊かな友だちたち。
それでも皆、それぞれの個性を認め助け合いながら仲良く過ごしています。
優しい気持ちになる素敵な絵本です。

我が子は、困っている人が目の前にいた時どんな行動をするんだろう?
学校ではどうなんだろう?

自分の身に起きていないことに思いを寄せるのって簡単じゃない。
だからこそ「想像する」力を、本を読んだり映画を見たりして養って欲しいなぁと思います。
本当は色々体験するのが一番ですけどね、中々難しい世の中です。

「どう思った?」「この子はどんな気持ちだっただろう?」
親子で考えてみる時間って必要ですね。

ままっち!編集部 Tammy

えほんカフェひっぽ
住所 
函館市神山3丁目64-2
TEL 
0138-87-2691
営業時間 
11:00~18:00
定休日 毎週火、水曜日
HP http://hakodate-ehoncafe-hippo.com/