『あつまさ先生の道しるべvol.37』~幼稚園の是非見てほしいポイント 2023年版~


認定こども園や幼稚園では、令和6年度の新入園児募集のために、9月頃から見学会や説明会等を済ませ、目下、入園願書受付準備の真っ最中ではないでしょうか。

この時期、お子さんの入園先を既に決めている保護者の方が多いかとは思いますが、迷われておられる方は、「あつまさ先生の道しるべvol.9~幼稚園の是非見てほしい5つのポイント~」もご覧いただき、園選択の一助にしていただければ幸いです。

なお、今回は前回の続編ということで、各園が重点的に取り組んでいる・取り組んでほしい「安全対策」に絞って、小学校や幼稚園運営に長くかかわった経験をもとに紹介したいと思います。

 

地震対策

内閣府は2年前、北海道から東北の太平洋沖で発生が予想される最大級の地震による被害想定を公表しまた。それによると、マグニチュード(M)9クラスの地震の後に発生する津波や建物の倒壊等で、最悪の場合、19万9千人が死亡するとのこと。被害の規模は死者・行方不明者が2万人を超えた東日本大震災をはるかに上回ります。一方、事前の防災対策で被害を8割減らせるとしており、国や各自治体による対策が急務となっています。

地震は発生する日時・場所・規模等が予測されないので、あらゆる場面を想定してハード面の備えや避難訓練を実施することが重要です。

★園舎の耐震性は基準を満たしているか
函館市の公立学校の全施設は、100%耐震性があると函館市のホームページに掲載されています。一方、市内の私立幼稚園や認定こども園等においては、基準を満たせず耐震診断や耐震補強、改築等を検討中のところが数園あるものの殆どの園は、耐震性があるとのこと。(函館市の子どもサービス課の情報)

★避難訓練はあらゆる事態を想定して実施されているか
市内の保育施設では、保育時間中、登・降園時、園外保育時、園バス運行時等々、いつ発生するか分からない地震やそれに伴う火災等に備え、綿密に避難マニュアル・年間指導計画等を作成し、全職員による机上訓練を重ねながら緊迫感をもって避難訓練を実施していることと思います。避難訓練を実施するにあたっては、自治体や町会、警察、消防等と連携も深めておくことが重要になります。もちろん、保護者との綿密な連携は言うまでもありません。

 

熱中症対策

北海道伊達市で、小学2年の女児(8)が体育の授業後に熱中症とみられる症状で死亡した事故が報じられたのが8月22日。当日の伊達市の最高気温は、33.5℃。学校側は「暑さ指数」を確認しなかったとのこと。なんと悲しく悔やまれる事故か。

★函館市内の教育施設(学校や幼稚園等)では、熱中症対策がされているか
北海道新聞9/16記事によると、「今夏の道南地方では記録的な暑さが続いたが、道南の小中学校の普通教室の冷房設置率は渡島地方が3.0%、檜山地方が30.4%にとどまっている。各学校は扇風機の活用や水分補給の呼びかけをこまめに行うなどの熱中症対策に腐心している。…中略…渡島管内では函館市や北斗市など8市町が0%」とのこと。函館市としては、エアコンを設置する方向で検討中とのこと。
一方、函館市内の私立幼稚園や認定こども園等での冷房設置状況はどうかというと、ほぼ全ての園の園舎にはエアコンが設置されているとのこと。(函館市の子どもサービス課の情報)
今夏の異常な暑さは、来年以降も続きそうです。そこで、各園の年間行事計画の策定にあたっては、運動会の開催時期の変更、夏休みの開始日の変更や期間延長等を考慮することが急務となっています。
※「道立校夏休み延長検討~道教委、猛暑対策で~道内小中に波及か~」道新10/21の記事

 

通園バスの安全対策

昨年の9月に静岡県の認定こども園で、園児が通園バスに置き去りになり熱中症で死亡した事件を受け、函館市は市内の保育所、幼稚園、認定こども園のうち、バスで子どもを送迎している23施設を実地調査し、安全対策が徹底されているか確認したところ問題はないとのこと。また、今年の4月から、政府は緊急対策として全国の通園バスに安全装置を義務付け、設置費用の補助をしてきた。そのことにより、函館市内の全ての通園バスには、安全装置が設置されるようになった。(函館市の子どもサービス課の情報)

★安全装置だけに頼らず、運転手や保育士よる二重・三重のチェックがなされているか
園児をバスから降ろした後の車内確認は基本中の基本。日ごろから乗降確認や出欠確認が園全体の組織で確実にできていれば園バス置き去り事故は防げたはず。人的ミス(ヒューマンエラー)を補うシステム(安全装置等)が義務化されたので、園バス置き去り事件は皆無になるでしょう。でも、安全装置等はあくまでも人的ミスを補うシステム、なにより大事なのは運転手や保育士による目視による確認。
「あつまさ先生の道しるべvol.25~安心、安全な通園バスであるために~ 」を参照願います。

★通園バスの運転手の人材確保がなされているか
高齢ドライバーによる交通事故が頻繁に報道されています。また、運転免許の自主返納を推奨する動きがある中、市内の通園バス運転手の平均年齢層はどうかというと、70歳前後かと思われます。
道新のみなみ風 9/22に 【園児の安全 尽くす最善】というタイトルで、「安全運行で子どもの安全を守りたい」と語る元消防士Hさん(60歳)の記事が掲載されていました。ご覧になった方も多いかとは思いますが。消防士として40年間、安全管理の徹底を胸に仕事をしてきたHさんは、自分にとってもってこいの仕事と感じて、退職後市内の認定こども園「H幼稚園」に就職したそうです。H幼稚園では、元警察官や元消防士が通園バスの運転手をしているので保護者の方々も安心しているそうです。なお、H幼稚園では、運転手を外部委託しているそうです。
道新の記事を一部引用すると、《…最近、Hさんに子どもたちが付けてくれたあだ名は「〇〇さん」。笑顔で呼んでくれる子どもの顔を見るたびに「この笑顔を守らなければ」。誰かの命を守るために生きてきた。その思いはずっと変わらない。》

 

あつまさ先生
あつまさ先生

各園では、お子さんのかけがえのない大切な命と笑顔を守るべく、万全の安全対策を講じながら日々保育にあたっていると思いますので、園選びの際は実際に園を訪問し、その様子を確認することをお勧めいたします。


 

次回は、「子どもにスマホはいつから持たせたら?」をテーマにご紹介。
【公開予定日:2023年11月22日(水)】